2009年 05月 07日
大木 実 きみが好きだよ
婆さんが若いころ、日本は大半の人々は貧しい暮らしをしていた。婆さんの家も、子沢山だったから、食べるのがやっとのその日暮らし。それでも貧しいとは思わなかった。周囲も似たような暮らしだったから、自分達が貧しいということさえ知らなかった。今はその頃と比べようもないほど豊かになった。それなのに、いつも何かが足りなく、どこかが欠けている気持ちになる。大木実の詩を読んで、自分が大切なものを、失くしてしまったことに気がついた。
朝
わたし達の小さな部屋で
わたし達のはじめての夜があけた朝
おんなは起き出して味噌汁をつくっていた
旅にも出ず
ひとの訪れもなく
ふたりで向かい合った貧しい朝餉 そして昨夜
まだお互いに名も呼ばず
おんなもわたしも涙を耐えていた
その朝も
いつもの朝のように
わたしは勤め仕事へ出て行った
by babamama_123
| 2009-05-07 18:22
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