後悔先に立たず

土曜日、絵の教室で、先生から{Tさんの個展見てきましたか」と訊ねられた。Tさんというのは教室のチューターの一人で、彼女の銅版画個展が神戸元町で開かれていた。モノトーンの不思議な感じのする絵で、私も見たいと思っていた。先週行くつもりだったのが、風邪をひいてしまって、外出できなかった。「行っていない」というと、先生は、「確か明日が最終日ですよ。僕、行ってきましたがよかったですよ。中華街のそばだし、帰りにおいしいものでも食べてこられるといいですよ」、と言われた。
ならばと日曜の朝思い切って行くことに決めた。朝、これから三宮までいくと家人にいうと、「俺もいく」とすぐに外出の支度を始めた。爺さんには興味のない絵をみにいくのだから、ついてくるな、と何度も言ったけれど、私にへばりつくようについてきてしまった。彼の魂胆は中華と寿司を食べることにあるのは私にはわかっていた。そんなお金ない、とことわったのに、1000円づつ割り勘でとという。玄関をでるときとてもいやな予感がした。
悪い予感というのは必ず的中するものだ。
事件は改札を通ってすぐ始まった。
特急を待ってホームに立っていると、爺さんがいきなり、「切符がない。落とした」と言いだした。電車が近づいてくるのが見えていた。それでも婆さんは改札まで戻って床を探してみた。大勢の人が行きかう構内で小さな紙切れを探すなんて無理だとは思ったけれど、さがすだけ探した。なかった。これが私のしたことだったら何といわれるかわかりやしない。ぶーっとふくれて、離れたところで次の特急を待っていると、爺さんが手を上にあげてひらひらさせている。よく見ると手に切符をもっている。「なんだ、あったんじゃない。だからポケットをよくさがせばと言ったのに・・・」
切符は携帯用録音機にはりついていたのだった。切符の裏の磁気のせいだった。
10分待って次の特急にのり座席に座った。私は行く先を確認するため、個展のちらしを鞄からだした。場所を描いた小さな地図が載っているからだ。Tさんの絵の写真が大きくのったちらしを見て、今度は私があわてた。なんと開催期間は、金曜までだった。電車はもう走り出している。「あら、もう終わってる。どうしよう。次で降りてかえろうか」
爺さんは目をむいたが、さすがおこらなかった。「年よりがふたりよるとなにしよるかわからへん・・・」と言って笑った。
結局三宮までいくことになった。三宮で爺さんが在職中によく行った、お寿司の「うを勢」でランチをして、南京町に向かった。ものすごい人出だった。私がウインドーに目を奪われていると、爺さんはすぐに見えなくなってしまう。背が低い上に黒のダウンジャケットに黒帽子、よくいる姿なので見つけるのが難しい。首か腰にリードをつけてくればよかったと後悔した。
中華街は若いカップルや家族連れでぁ歩行が困難なくらいにぎわっていた。せっかくここまできたのだから、せめて画廊の場所だけでも確認しようと、爺さんを南京広場に残して、行って見た。広場から少し離れたところに画廊はあった。もう次の個展の準備がはじまっていて小さな画廊に額がたくさんおかれていた。オーナーらしい人に、Tさんの絵はもうおわってしまったのですねと、伺うとまだのこっていますよ。と気持ちよく見せて下さった。大小合わせて5,6点はあっただろうか。複雑な黒の人物画で、趣のあるものだった。他の人のも見れて、もやもやとした気分が一気に晴れた。終わりよければすべてよし。気持がおおきくなって、その後、散財してしまった。

忠田愛さんの版画
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何を願って、神頼み・・・・
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爺さんをさがせ
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by babamama_123 | 2010-12-13 15:40 | 日々の記録 | Comments(0)