信州蓼科の秋ー2 レストラン ディ モアにて

ラストラダ(寮)の食事に不足があるわけではないけれど、信州らしい洒落なお店にも行ってみたい。山間の隠れ家のといったひなびた風情のレストランをおもい描いて、初日の寮の夕食は予約しなかった。といってどこというあてがあるわけでない。車の中で、ネットを検索してもきめられないまま、高速を降りた。もう5時を過ぎて夕暮れが迫っていた。とりあえず寮に荷物を置いて、寮のおじさんに、手頃なお店を訪ねた。おじさんは、地元の人なので、食事どころに詳しい。あそこも、ここも、ぼくの中学の同級生がやってる。といって、ここから15分はしったところに洋食屋があるよ、と教えてくれた。森を出て、交差点にKマートがあるだろ、その筋向いだで、すぐわかる。と言われて、暗い雨上がりの夜道を走ること30分あまり。それらしきところに行きあたらない。爺さんはたちまち不機嫌になって、地図の読めない女、とかなんとか悪態をつき始める。やっと見つけたと思ったら、運転手の娘は、イメージしてたのとちがうと言って素通りしてしまった。茅野に気になるお店を見かけたので、そこに行ってみようと言う。またうろうろ走って、娘の目当てのお店にたどりついた。街に近い国道沿いにあって、庭木に囲まれた小さなお店である。飛び込みの客だったが、丁度団体のパーテイが終わって片付いたところですと、気持ちよく入れてくれた。
店内は20人も入ったら一杯になるくらいで、窓際や棚にワインのボトルがずらーっと並べられている。壁には、誰の作品かきいたけれど忘れてしまった、エッチングのバレー姿の女性像が飾られている。全体暗い照明で、ステンドグラスのランプシェードから明かりがふわっと店内を照らしている。
いい感じじゃない、と娘と話しているところに、マダムと思しき女性がメニューを持って来た。逆三角形の顔に、携帯ストラップのドコモダケの暈のような髪型が似合っている。黒いロングのワンピースを着て、パッと見た瞬間、絵からぬけでてきたような姿だ、とまず驚いた。次にびっくりしたのは、テーブルに置かれたペーパーマットだった。わら半紙風のかみに鉛筆画と詩が描かれている。3人とも違った絵と詩で、とてもセンスがいい。料理を運んできたマダムに、なかなかいいですね、と話しかけると、それは私がかいたものです、自己流なんですよ、と言われた。ご主人のシェフも、ふっくらした穏やかな人物で、感じがよかった。
テーブルについてまもなく、奥のテーブルに5、6人の家族らしい予約客がやってきた。
今日は金婚のお祝いなのだそうです、とマダムが言った。私の席からは主賓の金婚のご夫婦は背中しかみえない。前にすわっているのは招待した息子なのだろう。丸顔に眼鏡をかけて、おだやかな笑顔の人物である。金婚というのは結婚して50年。ご夫婦は私達とほぼ同じ年配ではないかと思われる。細身に黒いスーツのご主人は、横の車いすの奥様に、お料理を、お皿にとりわけていられた。ちらっと見えた横顔が優しく静かで、ご夫婦の50年もきっと穏やかに流れたのだろう想像した。あと7年後には、私達も金婚を迎えるだろけれど、暴風の吹き荒れる荒波の海に浮かぶ船に乗った年月だった・・・・。こんな穏やかな金婚式は望むべくもないと、爺さんの横顔を見つめる婆さんだった。運転手の娘はお酒は飲めないのに、おいしいワインを注文している。ばあちゃんの誕生祝だと思えばいいじゃない、という言葉にのせられて、予算外の食事をしてしまった。足りない分は娘の支払いとなった。
帰り際、入口横のオルゴールから、アニーローリーのメロディーが店内に響き渡った。
お店の名前はDis Moi(私に言って、とか私に教えて、という意味らしい) また来たいお店である。
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by babamama_123 | 2014-11-07 10:34 | 歩く | Comments(0)